「最初に言葉があった」と尾崎は言う。
「言葉を歌ったのが音楽になっていた」のだと。尾崎豊は、曲先行の時代にあって、珍しく歌詞を評価された書き手であった。今でも彼は、歌詞の中で生き続けている。尾崎豊を知る一番の近道は、歌詞として告白された言葉をよく読むことである。本書では、ひとつひとつの歌詞を、そこに置かれた言葉の謎を解くように、ていねいに読み抜いた。
盗んだバイクと壊れたガラス 尾崎豊の歌詞論
アルファベータブックス 2018年6月5日刊
352ページ、2700円
もくじ
はじめに……危険な人生(ドライブ)
序章 尾崎豊の歌詞に向きあう
●第一部 精読のアクロバット
1 無力さの冒険「15 の夜」
─なぜ盗んだバイクが必要なのか?
2 あがいた日々の終わり「卒業」
─それは退屈しのぎの反抗だったのか?
●第二部 いろんな場所で、いろんな仕方で
1 ふたつの愛のかたち「I LOVE YOU」と「OH MY LITTLE GIRL」
─これは愛なのか?
2 過渡期のエネルギー 「十七歳の地図」
─半分大人には世の中がどう見えるか?
3 パターンで読む 「永遠の胸」
─彷徨のすえに見つけた答えは何か?
4 ため息が歌に変わるまで 「僕が僕であるために」
─勝つために何をするのか?
●第三部 尾崎豊という事件(尾崎論のためのノート)
1 尾崎家・少年時代・活動前期
─父の謎と「延期と復活」
2 活動後期・死・その余波
─病跡学とファン分析